5月20日に,D4教室において,本校機械工学科卒業生で直木賞作家の安部龍太郎先生を講師として,久留米高専第12期還暦同窓会記念講演会が開催されました。
講演の演題は「作家の生き方」。安部先生は,卒業生・在校生合わせて200名を前に,ご自分の高専時代の経験,作家修業時代の苦しみ,直木賞受賞の背景などを,ユーモアを交えて切々と語られました。
とくに,「ラグビーの怪我で休学し,法律家をめざしたが,その折に文学に出会った。文学を通じて,この世には自分よりももっと深い苦しみの中にある人がいることを知り,人生の袋小路から脱出できた」「作家修業時代のインド旅行で,人間は生きていること,そのままで尊いということが分かった。人の優劣はこの世の限りの約束で,普遍的なものではない。そこから自由に,自分の信じた道を行くのがよい」などの箴言に聴講者は心を打たれていました。
ご講演の後,在校生から安部先生に対して、「図書館司書を辞めてプロ作家の道を歩まれたとのお話ですが,うまくいかなかったとしても後悔していないか」「高専で機械工学を学んだことは作家活動に影響しているか」「執筆中ペンが止まった時にはどうやって打開しているのか」など活発な質問もあり,講演会は盛会のうちに終わりました。
なお,講演会の前に,第12期還暦同窓会の皆様から本校の教育研究支援基金へのご寄附の贈呈式がありました。また,安部龍太郎先生からも本校図書館の充実に向けてご篤志を頂戴しました。