久留米工業高等専門学校 産学民連携テクノセンター

一般科目(文科系) 鴨川 都美

顔写真 研究者情報
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氏名(日本語) 鴨川 都美
氏名(英語) KAMOGAWA Satomi
学位 博士(文学)
所属(日本語) 一般科目(文科系)
所属(英語) Dept. of Liberal Arts (Humanities and Social Science)
専門分野(日本語) 日本近現代演劇/文学
専門分野(英語) Japanese Modern Drama/Literature
主な研究業績

[1] 村山知義『暴力団記』の歴史的意義―搾取の構造とプロレタリアートの形象―(2014)
[2] 鈴木政男「人間製本」―〈公〉と〈私〉の二重構造―(2015)
[3] 原爆戯曲を覆う抑制―「島」/「ゼロの記録」の受容から―(2017)
[4] 新協劇団と『月刊 新協劇団』─左翼と国策のあいだ(2019) 

コメント

1920年代後半から1940年までの演劇運動,戦後の自立演劇運動など,主に社会問題(労働者,女性解放等)を描いた戯曲の研究を行っています.また,近年は原爆文学への興味から,原水爆を題材とした戯曲の研究にも着手しています.
 1920年代のプロレタリア演劇運動において,演劇運動に対する弾圧は,主に検閲での戯曲の破壊,突然の上演中止命令等,今では想像もつかないようなものでした.上演が許可されても,例えば三幕の戯曲にもかかわらず,終幕が殆どカットされ,上演不可能になったり,改題しなければ(例えば,私が主に研究している村山知義の戯曲「暴力団記」は「全線」に)上演の許可が下りなかったという例も少なくありません.しかしながら,1932年に文学関係者同様,演劇関係者も数多く逮捕され,33年の大量転向後,今度はさらに厳しくなる弾圧から逃れるために,日本の歴史,あるいは外国を舞台にして,当時の日本の「今」を描き出そうとする試みが盛んに行われました.代表的な例を挙げると,1934年に結成された第一次新協劇団で上演された島崎藤村の「夜明け前」や本庄睦男の「石狩川」の脚色などがあります.新時代を切り開こうとする青山半蔵の姿に,自分たちの「今」を重ねていたのだと思います.ここからは,当時の演劇人たちの脚色に托した意図を汲み取ることができます.プロレタリア演劇運動時代には,直裁的な表現様式による戯曲が顕在していましたが,大量転向以降,激化する弾圧のなかでいかに自分たちの演劇運動を遂行していくのか,ということに重点がおかれ,歴史劇,翻訳劇(シラーの「群盗」やゴーリーキの「どん底」など)がさかんに上演されていました.
 1930年代は,弾圧があってやむなく同時代の現象を歴史に託したのですが,そのような制約がないはずの現代において,歴史に托した戯曲が多く書かれているという実感があります.最近は,その社会的要因についても考えています.

研究キーワード

日本近現代演劇,村山知義,プロレタリア文化運動,現代の社会派演劇,原爆文学,日本近代文学,自立演劇

研究シーズタイトル

昭和戦前期の演劇運動における基礎的研究―村山知義を中心に―