久留米工業高等専門学校 生物応用化学科

冨岡研究室

<研究領域>
バイオアフィニティーの工学的応用

研究1、免疫測定法における感度増幅に関する研究

Enzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)法は,放射性同位元素で標識した抗体を利用するRadio immunoassay(RIA)法の改良法として1971 年にEngvall らにより考案され,幅広く臨床応用されている。しかし,ダイオキシンなどの環境汚染物質や疾患のマーカーとなる生理活性物質は,微量であるためELISA 法では検出することができない。そこで,リポソームテクノロジーを応用したLiposome-linked immunosorbent assay(LLISA)を提案する。図に示すように,酵素の代わりにリポソームを固定化し,感度増幅をはかるものである。この方法により,高コストかつ長時間であった環境汚染物質や微量疾患マーカーの測定を低コストかつ迅速に行うことが期待される。

研究2、PγGAキトサン複合体膜の透過性調整と生体適合性に関する研究

納豆の糸を引く成分はポリγグルタミン酸であり,最近,大量培養技術が確立され供給体制が整いつつある。用途開発として吸水ポリマーや繊維などへの応用や食品用途としての利用が考えられている。我々の研究室ではポリγグルタミン酸の生体適合性に着目し,膵島移植時の免疫隔離膜としての応用や生体内に埋め込みが可能な徐放基剤として応用を目指している。
実際には,ポリγグルタミン酸とキトサン,プロタミンなどを組み合わせた複合体を用いるが,ゲル形成法やフイルムのキャスティング法の検討,徐放基剤,免疫隔離膜としての性能を決める細孔のコントロールなどを課題として取り組んでいる。

研究3、その他興味ある研究領域

森のなかにある美味しい湧き水のある泉を発見することは価値があるとともに,その泉を誰もが利用できるように泉への道筋をつける仕事もまた価値あるものと考えている。工学は実学といわれるように,人々の幸福に貢献する使命を負っている。その意味で,企業における工程,処方改善や新製品開発にも,興味を持っており,特に高分子化学,無機化学,生物化学の領域で共同研究の声をかけていただければと思っています。